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半導体洗浄のフッ化水素酸(フッ酸/HF)はなぜ危険?薬傷の仕組みとグルコン酸カルシウムの応急処置

半導体洗浄のフッ化水素酸(フッ酸/HF)はなぜ危険?薬傷の仕組みとグルコン酸カルシウムの応急処置 半導体製造工程
SEMICON CAMPUS 無料講座洗浄コース3級 入門 ・ 第7講

洗浄で使う薬液は、どれも危険な物質です。第2講で見たフッ酸、第3講で見たSC-1・SC-2も、そうです。

この講では、特に注意が必要なフッ酸を中心に、なぜ危険なのか、体についたときの流れを、大学の安全資料などをもとに、入門として見ます。

黄色のマーカー = この講座のテストに出す重要ポイント

この記事でわかること

  • フッ酸が、特別に注意される理由
  • 体についたときの、基本の流れ(洗い流す、ゲル、受診)
  • 事前に、準備しておくこと
  • 実際の作業で従うべきもの(SDSなど)

① フッ酸が、特別に注意される理由

洗浄で使う薬液は、どれも危険な物質です。なかでも、第2講で出てきたフッ酸は、特に注意が必要だとされています。

ワシントン大学の安全資料(フッ酸の注意書き)によると、フッ酸は、痛みがなくても、すぐに処置が必要な薬品です。皮膚についても、すぐには痛くない場合があり、あとから、深い組織が傷むことがあるからです。

また、オーストラリアの小児病院(王立小児病院)の診療ガイドは、皮膚からフッ酸が入ると、全身に低カルシウム血症(血液中のカルシウムが減ること)が起きることがあり、血液の検査や、心電図での監視が必要になる場合がある、としています。

根拠

ワシントン大学の資料は、濃いフッ酸が、体の表面の約2%以上に広がると、命にかかわることがある、と述べています。

確認クイズ:フッ酸が皮膚についたとき、痛くなくても、なぜ、すぐ処置が必要ですか?

答え:すぐには痛くなくても、あとから、深い組織が傷むことがあるからです。

② 体についたときの、基本の流れ

大学の安全資料などには、次のような流れが書かれています。

  • すぐに、安全シャワーで洗い流す(約5分)。服には薬液がついているので、シャワーを浴びながら、薬液を広げないように気をつけて、脱ぐ
  • グルコン酸カルシウムのゲル(約2.5%のもの)を塗る。救助が来るまで、10〜15分ごとに、すり込むように、塗り直す
  • 痛みがなくても、必ず、医療機関で診てもらう
① すぐ洗い流す安全シャワー・約5分② ゲルを塗るグルコン酸カルシウム③ 必ず受診痛くなくてもフッ酸が、体についたときの流れ(大学の安全資料による)実際の手順は、必ず、職場の決まり・安全データシート・指導者の指示に従う
図1 フッ酸が体についたときの流れ(資料の内容を、編集部がまとめた自作の図です。実際の手順は、職場の決まりに従ってください)
数字で考えてみよう

ゲルを、10〜15分ごとに塗り直し、救助が来るまで1時間続けたとすると、60 ÷ 15 = 4回、60 ÷ 10 = 6回で、4〜6回です。

安全シャワーで約5分は、5 × 60 = 300秒。長く感じても、洗い流しつづけることが大切です。

確認クイズ:フッ酸が体についたとき、最初にすることは何ですか?

答え:すぐに、安全シャワーで、約5分、洗い流すことです。

③ 準備しておくこと

資料では、フッ酸を使う場所のそばに、グルコン酸カルシウムのゲルを置いておくこと、そして、ゲルには使用期限があるので、期限に気をつけることが、勧められています。万が一のときに、すぐ使えるかどうかが、結果を分けるからです。

なぜ、「うすいフッ酸」も、気をつけるのか?

第2講で、うすめたフッ酸(水で約1:50)を見ました。割合は、1 ÷ 51 ≒ 約2%です。うすくても、フッ酸であることは変わりません。この講座では、「うすい液なら安全」とは、教えません。扱いは、必ず、職場の決まりに従います。

くわしく読んでみよう(外部サイト・英語)

フッ酸の危険性と、ばく露したときの対応は、ワシントン大学の安全資料(PDF)に、まとめられています。

University of Washington「Focus Sheet: Hydrofluoric Acid」

確認クイズ:フッ酸を使う場所のそばに、置いておくとよいものは?

答え:グルコン酸カルシウムのゲルです(使用期限にも気をつけます)。

④ ほかの薬液でも、気をつけること

フッ酸だけではありません。RCA洗浄のSC-1とSC-2は、どちらも、70〜80℃の高温で使います(第3講)。高温の液は、液そのものの危険に加えて、やけどの危険があります。また、第4講で見たとおり、フッ酸は、石英ではなく、テフロンの容器に入れます。容器の材料を、まちがえないことも、安全の一部です。

ここで書いたのは、あくまで、入門の知識です。実際の作業では、職場の決まり・安全データシート(SDS)・指導者の指示に、必ず従ってください。この記事は、医療の助言ではありません。

確認クイズ:実際に薬液を扱うとき、何に従いますか?

答え:職場の決まり、安全データシート(SDS)、指導者の指示に、従います。

この講のポイント

フッ酸は、痛くなくても、すぐに処置が必要。体についたら、安全シャワーで約5分洗い流し、グルコン酸カルシウムのゲルを塗り、必ず受診する。ゲルは使用期限に注意。実際の作業は、職場の決まり、SDS、指導者の指示に従う。

これで、洗浄3級の本編は、ひと通りです。確認テストで、理解をたしかめてみましょう。

ことばのおさらい

フッ酸:自然酸化膜を落とすのに使う薬液。体につくと、痛くなくても、深い組織が傷むことがあります。

グルコン酸カルシウムゲル:フッ酸が皮膚についたときの応急処置に使うゲルです。

低カルシウム血症:血液中のカルシウムが減ること。フッ酸が皮膚から入ると起きることがあります。

SDS:安全データシート。薬品の危険性や、応急処置が書かれた資料です。

よくある誤解

Q. 痛くなければ、受診しなくてもよいですか?

いいえ。資料では、痛みがなくても、必ず、医療機関で診てもらうこととされています。

Q. うすめたフッ酸なら、安全ですか?

いいえ。この講座では、そう教えません。うすくても、扱いは、職場の決まりに従います。

参考にした情報

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