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半導体洗浄で落とす汚れ4種類:粒子・有機物・金属・自然酸化膜

半導体洗浄で落とす汚れ4種類:粒子・有機物・金属・自然酸化膜 半導体製造工程
SEMICON CAMPUS 無料講座洗浄コース3級 入門 ・ 第2講

前回は、洗浄が工程の約5分の1を占めることを見ました。では、落としたい「汚れ」とは、何でしょうか。

じつは、汚れは大きく4種類に分けて考えます。種類ごとに、害のしかたも、落とし方もちがうからです。

黄色のマーカー = この講座のテストに出す重要ポイント

この記事でわかること

  • 汚れの4種類(粒子・有機物・金属・自然酸化膜)
  • それぞれが、どんな悪さをするのか
  • どんな方法で落とすのか(くわしくは、次回以降)
①粒子 ごみ・ほこり→ ショート・断線 ②有機物 油・レジスト残り→ 膜がつかない ③金属 鉄・銅・ナトリウムなど→ 電気の特性が狂う ④自然酸化膜 うすい酸化膜 空気にふれてできる→ 接触が悪くなる
図1 ウェハの汚れ4種類のイメージ(模式図)

① 粒子(パーティクル)

空気中のほこりや、装置から出る小さなかけらです。前回見たとおり、回路の細い線をつないだり、ふさいだりして、ショートや断線の原因になります。スウェーデンの王立工科大学(KTH)の講義資料では、「致命的な不良になる粒子の大きさは、最小の線の幅の2分の1」と書かれています。前回のノースイースタン大学の解説では「約4分の1」でした。資料によって、不良になる粒子の大きさの目安は、線の幅の約4分の1〜2分の1とされます。

根拠

KTH(スウェーデン王立工科大学)の講義「Wafer Clean and Wet Processing」(Mikael Östling、2012年)。KTHの資料では最小の線の幅の2分の1、ノースイースタン大学の解説では約4分の1と、資料でちがいがあります。

数字で考えてみよう

KTHの資料の表では、最小の線の幅が65ナノメートル(2007年)、45ナノメートル(2010年)、32ナノメートル(2013年)と小さくなっていきます。

2分の1の目安で考えると、65 ÷ 2 = 32.5ナノメートル、32 ÷ 2 = 16ナノメートル。線が細くなるほど、気にする粒子もどんどん小さくなります。

確認クイズ:粒子が「ショートや断線」を起こすのは、なぜでしょう?

答え:回路の細い線のあいだをつないだり、線をふさいだりするからです。

② 有機物

油のよごれ、空気中の有機物の蒸気、保管容器から出るもの、そしてフォトレジスト(光で回路の形をつくる材料)の残りなどです。KTHの資料は、有機物の主な発生源として、空気中の有機物の蒸気・保管容器・フォトレジストの残りをあげています。

なぜ、有機物は困るのか?

有機物の膜が残っていると、その上に、次の膜がうまくつきません。また、あとの高温の工程で、汚れがウェハの中に入りこむおそれがあります。KTHの資料も、「高温の工程は、汚れをシリコンや薄い膜の中に押しこむ」と注意しています。

落とし方は、強い酸化力で、有機物を二酸化炭素と水に変えるのが基本です。たとえば、硫酸と過酸化水素水を混ぜた液(ピラニア液)や、オゾンを使う方法があります。

確認クイズ:有機物が残ったまま高温の工程に進むと、何が起こるおそれがありますか?

答え:汚れが、ウェハや薄い膜の中に入りこむおそれがあります。

③ 金属

鉄、銅、ニッケル、クロム、アルカリ金属(ナトリウムなど)です。KTHの資料では、金属汚れの発生源は、薬品や、イオン注入、ドライエッチングなどの工程だと説明されています。金属汚れの量の桁の例として、1平方センチメートルあたり10の10乗個(1億の100倍)程度の原子という数字が示されています。

数字で考えてみよう

直径300ミリメートルのウェハの面積は、半径15センチメートルから、3.14 × 15 × 15 ≒ 707平方センチメートルです。

1平方センチメートルあたり10の10乗個なら、ウェハ全体で 10の10乗 × 707 ≒ 7 × 10の12乗個(約7兆個)の原子になります。目に見えない量でも、数としては、とても多いのです。

なぜ、ごく少量の金属でも困るのか?

金属の原子は、シリコンの中で電気の流れ方を変えてしまいます。そのため、トランジスタの特性が、設計からずれる原因になります。落とし方は、酸性の液で金属を溶かし、くっつき直さないようにするのが基本です。

確認クイズ:金属の汚れは、おもにどんな工程や薬品から入りますか?

答え:薬品や、イオン注入、ドライエッチングなどの工程からです。

④ 自然酸化膜

シリコンは、空気や水にふれると、表面にごくうすい酸化膜が、すぐにできます。これを自然酸化膜といいます。KTHの資料は、自然酸化膜が引き起こす問題として、次の4つをあげています。

  • 電気の接触の抵抗が、大きくなる
  • 選択的に膜を育てる成膜(CVDやエピタキシー)が、むずかしくなる
  • 金属汚れの、発生源になる
  • 金属とシリコンの化合物(シリサイド)が、つくりにくくなる
数字で考えてみよう

自然酸化膜は、フッ酸(HF)を水でうすめた液で落とします。KTHの資料に出ているうすめ方は、フッ酸:水=1:50です。

全体は 1 + 50 = 51 なので、フッ酸の割合は 1 ÷ 51 ≒ 約2%。ほとんどが水で、かなり薄い液です。

なぜ、落としてもまた問題になるのか?

自然酸化膜は、空気や水にふれると、すぐにまたできるからです。だから、落としたら、できるだけ早く次の工程に進めることが大切です。

確認クイズ:自然酸化膜を落とすために使うのは、何をうすめた液でしょう?

答え:フッ酸(HF)を、水でうすめた液です。

この講のポイント

汚れは、粒子・有機物・金属・自然酸化膜の4種類。害のしかたも、落とし方もそれぞれちがう。だから、洗浄では、種類ごとに液や方法を使い分ける。

汚れおもな害落とし方(概要)
粒子ショート・断線アルカリ性の液、超音波など
有機物膜がつかない、汚れの押しこみ強い酸化(硫酸+過酸化水素水、オゾンなど)
金属電気特性のずれ酸性の液(塩酸+過酸化水素水)
自然酸化膜接触不良、金属の発生源うすめたフッ酸

次の記事では、これらを落とす液の組み合わせ、RCA洗浄を、くわしく見ていきます。

ことばのおさらい

  • パーティクル:ウェハについた、ごく小さなごみの粒です。
  • フォトレジスト:光で回路の形をつくるときに使う、感光する材料です。
  • 自然酸化膜:空気や水にふれて、表面にできる、ごくうすい酸化膜です。
  • フッ酸(HF):自然酸化膜を落とす、うすめて使う薬品です。

よくある誤解

Q. 汚れは、ごみのことだけですか?

いいえ。粒子のほかに、目に見えない有機物、金属、うすい酸化膜も、汚れとして扱います。

Q. 一度きれいにすれば、そのままで大丈夫ですか?

いいえ。自然酸化膜のように、空気にふれるとまたできるものがあります。

参考にした公式情報

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