GPUとは何か?なぜAIで使われるのかを初心者向けに図解

画素と数値データを並列に処理するGPU半導体のイメージ AI半導体・GPU
学習レベル 初級

ショート動画でGPUを知った人が、CPUとの違いとAIで使われる理由をつかむための記事です。

GPU(Graphics Processing Unit)は、似た計算を同時に大量処理するのが得意な半導体です。もともとは画面を描く計算のために発達しました。その並列処理の力が、現在は生成AIの大量計算にも生かされています。

CPU判断・順序・全体制御が得意
GPU似た計算の大量処理が得意
AI両者の役割分担で動く

CPU、メモリ、保存場所の関係から確認したい方は、先にCPU・メモリ・ストレージの違いを読むと理解しやすくなります。

この記事でわかること

まず理解する3項目
  1. GPUは何をする半導体か
  2. なぜ画像処理からAIへ広がったか
  3. CPUとGPUはどう協力するか
余裕があれば読む項目
  1. GPUが得意でない仕事
  2. HBM・職種とのつながり

最初に覚える一文

GPUは、似た計算を同時に大量処理するのが得意だから、AIで使われます。

GPUとは何をする半導体?

なおき

GPUって、ゲームの映像をきれいにする部品ではないんですか?

ふくろう先生

出発点は画像処理じゃ。画面を作るには、多数の画素へ似た計算を繰り返す必要がある。

なおき

同じ種類の仕事を、大勢で分担する工場のようなイメージですね。

ふくろう先生

そうじゃ。ただし工場は、並列度をつかむためのたとえ。実際には多数の処理単位が協調して計算する。

順番や判断が重要な処理とGPUが得意な大量の並列処理の違い
CPUとGPUは速さの単純な優劣ではなく、設計上の得意分野が違います。

CPUも複数の処理を並行できます。GPUの特徴は、より多くの処理を同時に進め、全体の仕事量を大きくする方向へ設計されていることです。

ここまでの一言まとめ:GPUは、似た計算を大量に並列処理するのが得意です。

なぜ画像処理からAIへ広がったのか

なおき

画面を描く計算と、生成AIの計算は別物に見えます。

ふくろう先生

目的は違うが、数字の組み合わせへ似た計算を何度も行う点では、GPUの並列処理を生かしやすい。

なおき

画像で育った大量計算の仕組みが、AIにも使われたんですね。

ふくろう先生

その理解でよい。ただしAIの処理すべてが同じ計算という意味ではなく、並列化しやすい部分をGPUへ任せる。

画像処理多数の画素の色・明るさ・形を計算する。
AIの計算大量の数値の組み合わせを繰り返し計算する。
共通する強み並列に進めやすい仕事をまとめて処理できる。

ここまでの一言まとめ:画像処理で育った並列計算の強みが、AIの大量計算にも合いました。

GPUは、なぜゲーム用からAIの主役になったのか

なおき

GPUは、最初からAIのために作られたんですか?

ふくろう先生

違うんじゃ。3Dゲームでは、多数の画素に似た計算を一斉に行う必要があった。その要求が、GPUの大量並列計算を育てたんじゃよ。

GPUを大きく育てたのは、AIではなく3Dグラフィックスの要求でした。 3Dの映像を滑らかに描くには、立体の形や画面を構成する多くの画素について、似た計算を短い時間で何度も進めなければなりません。その必要性に応える中で、GPUは大量の計算を並列に進める方向へ発達しました。

3Dグラフィックスの多数の計算がGPUの並列処理を育て、その能力が後にAIの行列計算へ生かされた流れ
3DグラフィックスとAIは目的が違いますが、多数の計算を並列に進めるGPUの強みが、後のAI計算にも生かされました。
なおき

でも、ゲーム用の部品を研究者がそのままAIの計算に使えたんですか?

ふくろう先生

最初は画像処理向けで、自由な計算には使いにくかった。そこでNVIDIAを率いるジェンスン・フアンらの時代にCUDAが登場し、一般的な並列計算へ使う入口が開いたんじゃ。

CUDAは、「絵を描く部品」を研究の計算へ開きました。 GPUに計算能力があっても、研究者が扱いにくければ広く使われません。CUDAによって、GPUの並列性を科学や研究の計算へ生かしやすくなりました。

なおき

入口ができただけで、AIにも向くと分かったんですか?

ふくろう先生

価値を具体的に示したのが、2012年のAlexNetじゃ。Alex Krizhevskyらは2枚のGeForce GTX 580を使い、大規模画像認識でGPUの有効性を成果として見せたんじゃよ。

AlexNetによって、ゲーム用に育った能力がAIにも使えると証明されました。 NVIDIAが用意した計算の入口と、研究者による実証がつながったことで、GPUはAIの計算基盤へ広がっていきました。

GPUがAIのために生まれたのではありません。ゲームが育て、CUDAが扉を開き、AlexNetがAIで使えると証明したのです。

CPUとGPUはどう協力する?

なおき

AI用のパソコンなら、CPUを外してGPUだけでも動きますか?

ふくろう先生

それはできん。CPUが全体を動かし、GPUへ向く計算を渡す。GPUは受け取った大量計算を進める。

なおき

CPUが指揮し、GPUが大量計算を担当する役割分担ですね。

ふくろう先生

さらにGPUへデータを届けるメモリと、両者を使うソフトウェアも欠かせない。

AIを支えるCPUの全体制御、GPUの並列計算、HBMのデータ供給の役割
AIの処理は、CPUの全体制御、GPUの並列計算、メモリからのデータ供給がつながって進みます。

GPUを働かせ続けるには、計算に必要なデータを十分な速さで渡す必要があります。AI向けGPUでHBMが注目されるのは、広い帯域で大量のデータを届ける役割があるためです。

ここまでの一言まとめ:CPUとGPUは競争相手ではなく、得意な仕事を分担する仲間です。

ここまででGPUの基本は理解できました。
ここから、もう一歩深く

ここから先は、苦手な場面、メモリ、仕事とのつながりまで知りたい人向けです。基本だけ知りたい方は、まとめへ進んでも問題ありません

GPUなら何でも速くなるわけではない

GPUの強みを生かすには、仕事を並列に分けやすいこと、必要なデータを十分に供給できること、GPU向けにソフトウェアが作られていることが重要です。

仕事の特徴向きやすい処理理由
判断や分岐が多く、順序が重要CPU複雑な制御と一つ一つの処理を速く進める設計が生きる
似た計算を大量に分けられるGPU多数の処理を同時に進め、全体の仕事量を増やしやすい
実際のAIシステムCPU・GPU・メモリ制御、計算、データ供給を組み合わせる必要がある

注意: 実際の速さはGPUの有無だけで決まりません。処理内容、メモリ、ソフトウェア、消費電力など、システム全体で変わります。

GPUとHBMはなぜセットで語られる?

GPUが同時に多くの計算を進めるほど、材料となるデータも大量に必要になります。そこで重要になるのがメモリ帯域、つまり一定時間にどれだけのデータを運べるかです。

HBMは、複数のDRAMダイを積層し、GPUなどの近くへ実装して広い帯域を得るメモリです。GPUとHBMの関係は、HBMとは何かで図解しています。

GPUを支える仕事は設計だけではない

半導体設計・ソフトウェア計算回路、制御回路、コンパイラやライブラリを作る。
製造・検査微細なGPUチップを作り、欠陥や性能を確認する。
メモリ・先端パッケージHBMとGPUを短く高密度につなぎ、熱や歩留まりへ対応する。

GPUという一つの製品の周りにも、装置、材料、製造、検査、実装、品質、ソフトウェアの仕事があります。まず業界全体の地図を見たい方は、半導体初心者ロードマップへ戻ると、工程や職種へ順番に進めます。

まとめ

まず覚える3点

  1. GPUは、似た計算を同時に大量処理するのが得意
  2. 画像処理で育った並列計算の力が、AIの大量計算にも合った
  3. CPU・GPU・メモリ・ソフトウェアの役割分担でAIが動く

GPUについてよくある質問

GPUはAIのために発明されたのですか?

いいえ。GPUは3Dグラフィックスなどの画像処理で発達しました。そこで育った大量並列計算の能力が、CUDAなどによって一般の計算へ使いやすくなり、後にAIへ広がりました。

ゲーム用GPUとAI向けGPUは同じものですか?

基本となる並列処理の考え方には共通点がありますが、同一ではありません。AI向け製品では、AIで多用する演算、メモリ帯域、製品同士の接続、ソフトウェアなどが用途に合わせて強化されています。

GPUがあれば、どんな処理でも速くなりますか?

いいえ。似た計算を多くの仕事へ分けられるときに強みを発揮します。判断や分岐が多い処理、データ供給が追いつかない処理では、GPUを追加するだけで速くなるとは限りません。

次の一歩

GPUへ計算データを届ける仕組みまで知りたい方は、HBMの図解記事へ進んでください。動画で見たテーマを順番に学びたい方は、半導体初心者ロードマップから続けられます。

参考資料

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