CPU・メモリ・ストレージの役割が少し見えてきた人向けです。
DRAMもNANDもメモリ半導体ですが、同じ仕事をする部品ではありません。DRAMは作業中のデータを素早く出し入れし、NANDは写真やアプリを電源OFF後も残します。この記事では、役割、セル、用途、製造の違いを、なおきとふくろう先生の会話と図解で一段ずつ整理します。
CPUとの関係から確認したい方は、先にCPU・メモリ・ストレージの違いを読むと理解しやすくなります。
- DRAMとNANDの一番大きな違い
- 電源を切ると消える・残る理由
- PC、スマホ、SSD、サーバー、AIでの役割
- セル構造と製造工程で難しくなる場所
DRAMもNANDもデータを覚えるなら、速い方だけ使えばいいのでは?
速さだけでは決められないんじゃ。作業中に素早く使うのか、電源を切った後も残すのかで役割が変わる。
DRAMが作業用、NANDが保存用。だから両方必要なんですね。
その通りじゃ。まずは2つの全体像を図で比べよう。

- DRAMは作業中の一時置き場
- NANDは長期保存の場所
- DRAMは電源OFFで消える
- NANDは電源OFFでも残る
DRAMとNANDの違いを表で比較
| 比較 | DRAM | NAND |
|---|---|---|
| 主な役割 | 作業中のデータを置く | データを長く保存する |
| 電源OFF | 基本的に消える | 残る |
| 主な用途 | PC・スマホのメインメモリ、サーバー、GPU周辺 | SSD、スマホ保存領域、USB、SDカード |
| 保持方法 | コンデンサの電荷をリフレッシュ | 絶縁された領域の電荷状態を保持 |
| 容量の考え方 | 主記憶として必要な容量を高速に扱う | 高密度化しやすく、大容量保存に向く |
| コストの傾向 | 一般に1ビット当たりの単価は高くなりやすい | 一般に1ビット当たりの単価を下げやすい |
| 設計の優先 | 低遅延で細かく読み書き | 高密度・大容量・不揮発性 |
性能・容量・価格は製品ごとに変わります。 「DRAMは高速でビット単価が高め、NANDは高密度・大容量でビット単価を下げやすい」というのは一般的な設計傾向です。世代、規格、製品構成、市況、コントローラ、アクセス方法で実際の値は変動します。
セル構造、用途、製造工程、企業や仕事まで知りたい人だけ進んでください。
DRAMはなぜ電源を切ると消えるのか
作業用なのはわかりました。でも、なぜ電源を切ると消えるんですか?
DRAMは小さなコンデンサの電荷で0と1を表す。電荷は少しずつ漏れるので、読み直して書き戻す必要があるんじゃ。
記憶を保つために、何度も確認して書き直しているんですね。
それがリフレッシュじゃ。電源がなくなるとリフレッシュも止まり、データを保てなくなる。
DRAMの代表的なセルは、1個のトランジスタと1個のコンデンサを組み合わせた「1T1C」です。コンデンサの電荷状態を読み、定期的にリフレッシュします。この性質からDRAMは揮発性メモリに分類されます。

- 代表的なセルはトランジスタ1個とキャパシタ1個
- セルの電荷は時間とともに減る
- 記憶を保つためにリフレッシュする
NANDはなぜ電源を切っても残るのか
NANDも電荷を使うのに、こちらはなぜ消えないんですか?
絶縁された領域へ電荷を蓄え、その状態で0と1を見分ける。電源を切っても電荷がすぐ逃げない構造なんじゃ。
だから写真やアプリを保存できる。でも永久に壊れないわけではないんですよね。
その通り。SSDコントローラがウェアレベリングや誤り訂正などを行い、セルの寿命とデータの信頼性を支えている。
NANDの代表的な方式には、浮遊ゲートとチャージトラップがあります。どちらも電荷状態によってトランジスタの性質が変わることを利用します。ここまでの「0と1を見分ける」という説明は仕組みをつかむための簡略化です。実製品には、複数のしきい値電圧状態を読み分け、1つのセルへ複数ビットを記録する方式もあります。短い間隔でリフレッシュしなくても記憶を保てるため、NANDは不揮発性メモリです。
SSDの司令塔であるコントローラの役割を深掘りすると、NANDを保存装置として使える理由がわかります。
PC・スマホ・SSDではどう使い分けるのか
アプリや写真は、DRAMとNANDの間をどう動くんですか?
保存中はNAND側、アプリを開くと必要なデータがDRAMへ移り、CPUやGPUが処理する。
作業するときだけ机へ広げ、残したい結果は保存場所へ戻すんですね。
その通り。ただし実際の転送や管理は、OSや各種コントローラが連携して行うんじゃ。
アプリを開くと、SSDなどに保存されていたデータのうち、作業に必要な部分がDRAMへ読み込まれます。CPUやGPUが処理し、残したい結果を保存するとNAND側へ書き戻されます。
AIではDRAMとNANDのどちらが重要なのか
AIではHBMが重要と聞きます。NANDは必要なくなるんですか?
HBMはDRAMを基礎にした広帯域メモリじゃ。計算中のデータ供給を助けるが、学習データやモデルの長期保存にはNANDも必要じゃ。
AIでも、DRAM系が作業、NANDが保存という役割は続くんですね。
そうじゃ。計算する速さ、データを渡す速さ、保存する量の3つを組み合わせてシステムを作る。
HBMはNANDの仲間ではありません。 複数のDRAMダイを積層し、GPUなどの近くへ実装して広い帯域を得るメモリです。構造と先端パッケージは別記事で扱います。
同じメモリ半導体でも製造の難所が違う
DRAMとNANDは、工場でも同じように作るんですか?
共通工程は多いが、難所は違う。DRAMは小さなセルで電荷を保つ構造、3D NANDは多数の層と深い縦穴が大きな課題になる。
役割が違うから、成膜やエッチングで狙う構造も変わるんですね。
その通り。企業、装置、材料、検査、職種の違いも、ここから見えてくる。
よくある疑問
DRAMとNANDはどちらが速い?
一般的なシステムではDRAMの方がNANDストレージより低遅延で、細かな読み書きを高速に行えます。ただし実性能は世代、規格、接続、コントローラ、アクセス方法で変わります。
NANDはメモリ?ストレージ?
NANDはメモリ半導体です。NANDとコントローラなどを組み合わせたSSDはストレージ製品です。
DRAMは保存に使えない?
通常のDRAMは電源断でデータを失うため、長期保存には向きません。特殊なバックアップ構成はありますが、一般的なPCではDRAMを作業用、SSDを保存用として使います。
まとめ
- DRAMは作業中のデータを置く揮発性メモリ
- NANDは電源OFFでも残る不揮発性メモリ
- DRAMはリフレッシュが必要
- NANDは電荷状態を保持し、SSDコントローラがウェアレベリングや誤り訂正などを行う
- 役割の違いは、セル構造・製造工程・企業・職種の違いへつながる

